最近のニュースで以下のようなものを見ました。
政府が、人手不足の分野で外国人労働者を受け入れる在留資格「特定技能」の対象に、
自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野を加えることを検討していることがわかった。
追加に法改正は伴わないが、省令などを改める必要がある。
在留期間が最長5年の特定技能1号は現在、飲食料品製造や建設など12分野で受け入れている。
追加が実現すれば、2019年の制度創設以来初めて。関係者によると、自動車運送業では、バスやタクシー、トラックの運転手を想定。
鉄道では運転士や車掌、駅係員、車両製造など、林業では育林など、
木材産業では木材加工などの業務に携わることを検討している。
トラックの運転手など人手不足による2024年問題として注目されてきた課題に対して
外国人労働者の受け入れでの対応を検討しようという内容です。
ですが、そもそも今回追加される分野が現状のような状況になったことに賃金や労働環境の問題などが
あると思いますがそれらへの改善はどのようになるのでしょうか?
それらが改善されないと根本的な解決にならないと思うのですが
特定技能 4 分野追加で輸送業などの労働環境の改善が遅れるの?
今回の分野への導入が進み、先ほど述べたような課題が解決されないままだと
特定技能 4 分野追加で輸送業などの労働環境の改善が遅れる可能性が考えられます。
特定技能制度は、人手不足の産業で即戦力となる外国人労働者を受け入れるための制度です。
対象となる分野は、2024年1月現在、12分野あります(後述)。
これらの分野は、いずれも深刻な人手不足に直面しており、特に運送業では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されることから、外国人労働者の受け入れを急いでいます。
しかし、特定技能制度では、労働環境の改善が必須ではありません。労働契約において、労働時間や賃金、休日などの労働条件を自由に定めることができるため、労働環境が改善されないまま、外国人労働者を受け入れてしまう可能性があります。
実際に、特定技能制度の対象分野では、労働環境が改善されないまま、外国人労働者が低賃金や長時間労働を強いられているという問題が指摘されています。
特定技能 4 分野追加によって、輸送業などの労働環境が改善されなければ、外国人労働者の受け入れが、労働環境の改善を阻害する要因となる可能性があります。
特定技能制度を活用して、輸送業などの労働環境を改善するためには、以下の対策が考えられます。
労働条件の改善を義務付ける法改正を行う。
労働基準監督署などの監視を強化する。
外国人労働者の労働環境改善を支援する制度を設ける。
政府は、特定技能制度を活用して、人手不足の解消と労働環境の改善を両立させようとしていますが、具体的な対策が講じられなければ、労働環境の改善が遅れる可能性があります。
特定技能制度の12分野とは?
特定技能制度は、人手不足の産業で即戦力となる外国人労働者を受け入れるための制度です。2024年1月現在、対象となる分野は以下の12分野です。
介護
ビルクリーニング
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
それぞれの分野で、受け入れ可能な職種が定められています。
介護
介護施設や訪問介護で、高齢者や障害者の介護を行う職種です。
ビルクリーニング
ビルやマンションの清掃を行う職種です。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
金属やプラスチックなどの素形材の製造、産業機械や電気電子機器の製造を行う職種です。
建設
建築物の建築や土木工事を行う職種です。
造船・舶用工業
船舶や海洋構造物の製造を行う職種です。
自動車整備
自動車の整備や修理を行う職種です。
航空
航空機の整備や運航を行う職種です。
宿泊
ホテルや旅館などの宿泊施設で、宿泊客の接客や客室の清掃を行う職種です。
過去の特定技能制度導入での労働環境の改善状況は?
特定技能制度が導入された12分野で、導入前後で賃金や労働環境の改善は見られましたが、必ずしも一律に改善されているわけではありません。
賃金
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」によると、特定技能制度の対象分野における平均賃金は、
介護が237,100円、
ビルクリーニングが194,900円、
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業が219,700円、
建設が242,200円、
造船・舶用工業が254,600円、
自動車整備が257,800円、
航空が282,600円、
宿泊が206,500円となっています。
これらの数字を見ると、特定技能制度の対象分野における平均賃金は、導入前後で概ね上昇傾向にあると言えます。
しかし、介護やビルクリーニングなどの分野では、まだ日本人労働者の賃金に追いついていないのが現状です。
労働環境
労働環境については、特定技能制度の対象分野で、長時間労働や休日出勤などの問題が依然として指摘されています。
厚生労働省の「令和2年労働基準監督行政報告」によると、特定技能制度の対象分野における時間外労働の割合は、介護が44.5%、ビルクリーニングが36.6%、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業が37.4%、建設が42.3%、造船・舶用工業が43.6%、自動車整備が44.5%、航空が41.2%、宿泊が39.3%となっています。
これらの数字を見ると、特定技能制度の対象分野における時間外労働の割合は、日本人労働者の割合と比べて、依然として高い水準にあると言えます。
改善が必要な分野
特定技能制度の対象分野において、賃金や労働環境の改善が特に必要な分野としては、以下の3つが挙げられます。
介護
ビルクリーニング
建設
これらの分野では、外国人労働者の受け入れが急速に進んでいる一方で、賃金や労働環境の改善が十分に進んでいないのが現状です。
政府は、特定技能制度の対象分野において、賃金や労働環境の改善を図るための施策を検討しています。具体的には、以下の施策が検討されています。
特定技能所属機関に対して、賃金や労働環境の改善を義務付ける
労働基準監督署などの監視を強化する
外国人労働者の労働環境改善を支援する制度を設ける
これらの施策が効果的に実施されれば、特定技能制度の対象分野における賃金や労働環境の改善が進むと期待されます。